神様へ・・・〜1/2の選択肢〜(改訂版)


みんな、神様って信じてる?この時代だと、信じてる人は少ないかな?
私も小さい頃は信じてるってほどでもなかったし・・・まあ、「運命」とかには多少興味あったけど。
でも、今は結構信じてるんだ。あ、もちろんキリスト教の「イエス様」みたいに限定してるわけじゃないよ。
ただ漠然と神様っていう存在を信じてる・・・ただそれだけ。
もちろん私が神様を信じるようになったのには訳がある・・・
そう、あの事件以来、私は神様の存在を信じるようになったんだ・・・


中学時代、私はイジメにあってた。
理由はよくわかんないけど、多分周りから見ると私が生意気に見えちゃったらしい。
私自身は特に何かしてた覚えはないんだけど・・・とにかくある日突然イジメが始まった。
暴力をふるわれたり、教科書をブチまけられたり・・・
毎日毎日、学校に行くのが憂鬱で仕方がなかった。
いっそ、死んでしまいたいと思うくらいに・・・
ある日、私はいつものように憂鬱に学校から帰ってきた。
その日家族は誰も家にいなくて、めずらしく私は家に独りきりだった。
(みんな、どこ出かけちゃったんだろ?)
(はぁ、もう学校行きたくないなぁ・・・)
(・・・もう疲れちゃった・・・)
そんなことを考えていた最中、台所に行った私の目に洗ってあった包丁が飛び込んできた。
その時私の頭に、ある1つの考えが浮かんできたんだ・・・
気がつくと、私はおもむろにその包丁を手に取り、お風呂場に向かってた。
まるで何かに引き寄せられるかのように・・・
浴槽に水を溜め終えると、私は左の手首に包丁を当て、一気に引き切った。
手首が熱い・・・赤い血が、浴槽の水の色をどんどん染めていく・・・
(これじゃまだ足りない・・・まだ死ねない・・・)
私は血の流れ出ている手首をもう一度、さっきより強く切り裂いた。
だんだん指先の、腕の感覚がなくなっていく・・・
しばらくして、急激に意識が遠のいていくのがわかった。
私は静かに目を閉じた。
不思議と、死の恐怖は全くなかった。むしろ・・・
気がつくと、私は母が勤めてる病院のベッドの上だった。
左の手首には包帯、腕には点滴の針が刺さってる。
家族みんなが心配そうにこっちを見てる・・・だんだん頭がハッキリしてきた。
(ああ、まだ私は死ぬには早かったってことかぁ・・・)
そう、あの時私は1つの賭けをしたんだ・・・
(もし私がこのまま死んでしまえば、神様が私なんて生きている価値のない人間として私を見捨てたということ・・・)
(でも、もし私にまだ生きてやるべきことが残ってるとしたら・・・?)
(神様が、死ぬ前に私を救ってくれるかも・・・)
(私にこれから生きていく力を与えてくれるかも!)
そして結果は見ての通り。たまたま早く帰ってきた姉が私が倒れてるのを見つけてくれたらしい・・・
幸い傷もそれほど深くはなかったらしく、少しの入院期間で退院できた。
もちろん、家族にも医者にもモノすごい怒られちゃったけど。
でも、とにかく私は生き延びることができた・・・
その日から私は生きる目標を探し始めた。
多少のイジメはまだ残ってたけど、もう死のうなんて思わなくなった。
神様が私に生き抜く力をくれたから・・・
神様が、「私にはまだやることが残ってる」って教えてくれたから・・・


・・・ん?なんだろ?遠くのほうで声がする・・・?
「ナッチー、そろそろ本番始まっちゃうよ〜。遅れるぞ〜。」
「え?・・・あ、ちょっと待って。今行くよ〜!」
今私はモーニング娘。というグループに入り、歌のお仕事をしてます。
そう、私は運良く自分の目標を見つけ、それに向け走りつづけてるんだ。
神様、信じてもいいですよね?私は歌を歌うために生き延びたんだって・・・
歌で過去の私のような人を救う事が、私がやり残したことだったんだって・・・

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