あったらいいなこんな日常#3


「う〜ん・・・やっぱり・・・」
 ひとみが首をひねっている理由・・・
 それは、同じモーニング娘。のメンバーの亜依がここ数日元気が無い
 というものだった。
 TVの収録などではがんばって笑顔を見せているのだが、
 空き時間にみせる表情にふとかげりが混ざる。
 そして今も、PV撮影のわずかな休憩時間に控え室に姿を消してしまった。
 以前なら同期の希美と一緒に、
 メンバーやスタッフのまわりをたのしそうに駆け回っていたのに・・・
 気になったひとみは亜依の後を追った。
 ひとみが控え室のドアを開けると、部屋の隅っこで膝を抱えて小さくなっていた亜依が
 びっくりして顔を上げる。
 ひとみにはその目にうっすらと涙が浮かんでいるように見えた。
「あいぼん・・・どーしたの?」
「・・・別に・・・」
「別に・・・って・・・今泣いてたんじゃない?」
「・・・よっすぃーには関係ないやん!ほっといて!」
 予想しなかった亜依の強い口調に少し戸惑うひとみ。
 わずかにひるんだのをみてとったか
 亜依はひとみの横をすり抜けるようにして駆け出す。
 思わず差し出したひとみの手はかろうじて亜依の手首をつかんだ。
「ちょっとまって、あいぼん・・・」
「うるさいっ!はなしてよ!」
「ちょ・・・あいぼ・・・・・・亜依っ!」
 ひとみの剣幕に気おされた亜依の動きが止まる。
 すかさずひとみは亜依の手を引き抱き寄せる。
 そしてそのまま自分はあぐらをかくとその膝の上に亜依をそっと座らせる。
 背中から伝わる心地よい温度・・・
 それはやわらかい波動となって亜依のこころを解きほぐしていく。
「・・・よっすぃー、ありがと。」
「・・・ん、気にすんな・・・」
「・・・最近おうちのこととか、地元のトモダチのこと思い出すの・・・」
「・・・で、なんかわかんないけど妙にさみしくなっちゃったりしてたんだ。」
 ポツリ、ポツリとつぶやく亜依。
 ひとみはそれをだまってきいている。
 背中からやさしく亜依を抱きしめながら・・・
「でも、もう大丈夫。よっすぃーがあっためてくれたから。」
「・・・そっか、よかった。でも私だけじゃないみんなのあったかさだよ、きっと。」
 亜依はゆっくりと後ろを振り返る。
 その顔には微笑みが浮かんでいた。
 つられてひとみも微笑を返す。
「さっき『亜依』って呼ばれた時すっごく嬉しかった。」
「ふふっ・・・呼び捨てにしちゃったね。」
「なんかね・・・お母さんって感じだった。」
 亜依はさっきまでとは打って変わって意地悪そうな笑みを浮かべながら言った。
「お母さんって・・・お姉ちゃんでしょ!もう・・・」
「どっちかって言うとお兄ちゃんかな?今日のかっこだと」
 男物の白のスーツでビッと決めたひとみは確かに『お兄ちゃん』だ。
「お兄ちゃんねぇ・・・ま、いっか。」
 両手を広げ、『しょうがないなぁ』というポーズをとるひとみ。
「さ、あいぼんもう戻ろっか。みんなも心配してるよ」
「そだね、お兄ちゃん♪」
 ひとみは苦笑しながら亜依の手を取り立ち上がる。

 

 そして二人は手を繋いだまま駆け出す。
 大切な仲間が待つ、あったかい場所へ・・・

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